FRITZ HANSEN LOUNGE

韓国、ソウル

ソウルで楽しむ、デザインとナチュラルワイン

ナチュラルワインとデザインのコラボレーションがひとつの建物内で実現

韓国・ソウルの漢南洞(ハンナムドン)の喧騒を離れ、竹が立ち並ぶ小道を進んだ先の建物の1階に「フリッツ・ハンセン・ラウンジ」が居を構えています。リノベーションされたばかりのこの建物では、古いものと新しいもの、デザインとナチュラルワインがバランス良く融合しています。

家具、照明、グルメ、ナチュラルワインが織りなす唯一無二のコラボレーションが五感を刺激する体験をお届けします。

インタビュー

ワインバー「BIG LIGHTS」のオーナー、Lee Joo Hee

韓国のナチュラルワイン業界のパイオニアと呼ばれるワインバー「Big Lights」は、韓国のナチュラルワイン愛好家の好みに合ったセレクションを提供し続けています。2020年5月、Big Lightsは、フリッツ・ハンセン・ラウンジが居を構える建物の2階に移転しました。

フリッツ・ハンセンはBig Lightsのオーナー、Lee Joo Heeをインタビューし、新しい空間、ナチュラルワインとデザインの関係性について語っていただきました。

Lee Joo Hee は、このインタビューでBig Lightsに併設された、アーティストのGuk Hwaが運営するカフェ兼ナチュラルワインストア「Tetu」についても語っています。Big LightsとTetuでは、フリッツ・ハンセンの家具が使用されています。

——2つの空間の共通点はナチュラルワインですが、業務形態は異なりますね。詳しく教えてください。

Big Lightsは、ソウル初のワインバーです。ここでは、旬の食材だけを使った料理を提供しています。調理で使用するのは、薪とチャコールグリルのみです。定期的に変わるメニューは、ナチュラルワインとのマッチングを常に考慮しています。

Tetuは、アーティストのGuk Hwaが運営するカフェ兼ナチュラルワインストアで、ここではよりリラックスした雰囲気のなかでカジュアルにナチュラルワインが楽しめます。Big Lightsがホームパーティのような雰囲気なら、Tetuでは、もっと静かな空間でワインを味わうことができます。

両者のナチュラルワインのセレクションは似ていますので、Big Lightsで味わったワインをTetuで購入して持ち帰ることもできます。

——ナチュラルワインとフリッツ・ハンセンのデザインの共通点は何ですか? フリッツ・ハンセンの家具と照明がご自身のコンセプトに合っていると思った理由は?

フリッツ・ハンセンは由緒正しいブランドで、高く評価されています——デザイナーや作り手からの信頼も厚い。ナチュラルワインにも同じことが言えます。ナチュラルワインは、確固たるクラフツマンシップの結果ですから。ナチュラルワインは「アルチザン・ワイン(職人のワイン)」と呼ばれていて、作り手の個性がそのままワインに反映されます。こうした点では、優れたデザインやアートに似ていますね。

ナチュラルワインの作り手とフリッツ・ハンセンのデザイナーおよび作り手は、センス、美しさ、心地良さを追求しています。こうした人々の誠実な努力が製品に埋め込まれていて、それが輝きとなって現れるのです。

——ウェイティングエリアのラウンジチェアを除き、Big Lightsはグランプリチェアを使用しています。グランプリチェアを選んだ理由は?

グランプリチェアは歴史的に意義のある作品ですが、誰かが座っているときの見た目が単純に好きなのです。誰が座っていても、その人の体のラインとチェアが良くマッチするような気がします。

人がいないときも、満員のときも、空間に美しさを添えてくれるチェアを探していました。そのままの状態はもちろん、多くのお客様がいるときも空間は美しくあるべきです。これを忘れてはいけません。

——Tetuの家具のセレクションは、もっと「自由」な印象を受けるのですが、いかがでしょう?

Tetuを運営しているGuk Hwaは、フランスで写真術を学んだアーティストで、帰国後は実験的な写真や絵画を発表しています。私たちは、ただコーヒーを飲むだけの場所ではない、パリのカフェのような文化的な空間を思い描きました。フォーマルな気分というよりは、もっとナチュラルで人間らしい雰囲気にしたかったのです。

アルネ・ヤコブセンのドットスツール、スワンチェア、nendoのN01™チェアが一種のリズムを形成することで、自由な雰囲気が生まれます。何よりもまず、ここは自由にナチュラルワインが楽しめる場所なのです。空間の仕上げとしてカイザー・イデルの照明といった小さなアイテムを加えました。

——なぜ、飲食スペースに高級家具を使おうと思ったのですか?

私には、お客様の好みがわかるのです。そして、これは素晴らしい体験だと思いました。お客様と私にとってクオリティはとても重要です。

ショールームで10〜20分だけ家具を試すのと、料理と飲み物を楽しみながら数時間体験するのは、まったく別物です。

——その他の特徴について教えてください。

エレベーターの前にあるのは、ハイメ・アジョンが手がけたラウンジチェアのフレッドです。ワインバーの中心的な存在ですね。各テーブルには、同じくハイメ・アジョンがデザインしたキャンドルホルダーとフラワーベースをセットしています。セシリエ・マンツの照明、シセ・ヴェアナーのコートツリー、ポール・マッコブの照明も使っています。当然ながら、照明は大切ですから。

Big LightsとTetuの両方で菊の写真と絵を展示しています。

重要なのは、この空間がくつろぎながらナチュラルワインを楽しめる場所だということです。

——Big Lights移転にともない、変えたことはありますか?

いいところをつきますね。実際、ワイングラスをテーブルとチェアに合うようなものに変えました(笑)。オーストリアの「マーク・トーマス」というブランドのグラスを使っています。もちろん、良質なグラスがなければワインが楽しめないわけではないのですが、美しいものがあるだけで、気分が良くなることもときにはありますから。

@biglights_seoul

@tetu_seoul


写真左:Guk Hwa(Tetu オーナー) / 写真右:Lee Joo Hee(Big Lights オーナー)

TETU CAFÉ

Big Lightsに併設されているのは、グラスからナチュラルワインがオーダーできるだけでなく、コーヒーとワインボトルがテイクアウトできる「TETU」。Lee Joo Heeとともに、アーティストのGuk HwaがBig Lightsより落ち着いた雰囲気のこの空間を運営しています。 「ただコーヒーを飲むだけの場所ではない、パリのカフェのような文化的な空間を思い描きました。フォーマルな気分というよりは、もっとナチュラルで人間らしい雰囲気にしたかったのです。アルネ・ヤコブセンのドットスツール、スワンチェア、nendoのN01™チェアが一種のリズムを形成することで、自由な雰囲気が生まれます。テーブルとチェアのセッティングが完了すると、空間の仕上げとしてカイザー・イデルの照明といった小さなアイテムを加えました。何よりもまず、ここは自由にナチュラルワインが楽しめる場所なのです」とGuk Hwaは話します。 @tetu_seoul

A Living Showroom

フリッツ・ハンセン・コリア——Soo Hyun Lee、カントリーマネージャー

ショールームとオフィスという2つの役割を担うフリッツ・ハンセン・ラウンジ。フリッツ・ハンセン・コリアのスタッフは、業務はもちろん、クライアントやゲストを迎える場所として、この空間を日々活用しています。訪れる人は、さまざまなラウンジエリアに配されたチェアに座り、フリッツ・ハンセンのデザインを心ゆくまで体験することができます。

——フリッツ・ハンセン・ラウンジをオープンした経緯について教えてください。

この10年間、フリッツ・ハンセンは韓国の小売業界において確固たる存在感を徐々に確立し、それを維持してきました。でも、私たちのコントラクトビジネスは、まだ始まったばかりです。

建築家やプロのデザイナーといったクライアントとのプロジェクトを実施するにあたり、フリッツ・ハンセンの製品を展示し、コラボレーションできる空間が必要でした。フリッツ・ハンセン・ラウンジは、こうしたニーズに応えるだけでなく、ブランドの方向性と哲学を反映して設計されています。

——フリッツ・ハンセン・コリアは、ショールームの計画段階からナチュラルワインバーのBig LightsとTetuと協働してきました。両者とのコラボレーションについて聞かせてください。

天然素材、製造プロセス、作り手の哲学など、ナチュラルワイン作りとフリッツ・ハンセンは、共通の価値観を持っています。ここ数年、韓国のナチュラルワイン市場は急速に成長しました。ナチュラルワインは、デンマークでは飲食文化の一部としてずっと前から定着していますね。そのため、スタート時点から、こうした価値観に牽引された、タイムリーなコラボレーションだと感じました。

それに、ショールームの上階にオーガニックで質の高いものを提供する場所であり、フリッツ・ハンセンの家具が使われている最高の事例があるのは素敵なことです。

——1階のショールーム兼オフィスを設計する際、特にこだわった点はありますか?

まさにこの空間には、韓国とフリッツ・ハンセンの視点が取り入れられています。地元のお客様に気に入っていただけるような色彩とレイアウトを考案しました。ビジネスミーティングを行ったり、リラックスしたりできる4つのラウンジエリアを1階の空間内に造ることができました。

フリッツ・ハンセン・アジア地区のダリオ・ライシェルCEOと密接に連携しながら、フリッツ・ハンセン・ラウンジと、この建物内で行われるコラボレーションに取り組みました。私たちと密接なつながりを持つ業界である料理とナチュラルワインの世界においてこれほど高く評価されているお店をお迎えできる特別なチャンスだと確信していましたから。
——どのようにして家具をセレクトしたのですか?

フリッツ・ハンセン・ラウンジは、主にコントラクトビジネス(B2B)用に設計されていて、フリッツ・ハンセンの歴史と精神を反映した製品を展示しています。セレクションには、アルネ・ヤコブセンのエッグチェアとスワンチェア、ポール・ケアホルムのPKシリーズも含まれます。

ショールームでは、ヴィコ・マジストレッティ生誕100周年を記念して2020年に復刻されたヴィコデュオ・チェアと、温もりを感じさせるアクセントとしてハイメ・アジョンのルネソファ、ビャルケ・インゲルスのVIA57™ラウンジチェアも使っています。多彩なスタイルのラウンジエリアを実現することができました。

ラウンジエリアには、Guk Hwaのアート作品および印画、そしてKim Jae-hoonの写真も展示しています。まさに唯一無二のこうした作品が家具の魅力を見事に引き立ててくれるのです。

ショールームとオフィスは仕切られていますが、どちらもスタッフとお客様がともにフリッツ・ハンセンのデザインを体験できる仕事およびミーティングのための空間になっています。インスピレーションを与えることが私たちのゴールなのです。

——フリッツ・ハンセンの特徴について教えてください。

フリッツ・ハンセンのデザインの価値とクラフツマンシップは、140年を超えて絶え間なく立証されてきました。フリッツ・ハンセンは、とても長い歴史のある誠実なブランドです。

クオリティへのこだわりはもちろん、フリッツ・ハンセンは、デザインのなかには天才的なものがあり、その意義はずっとずっと変わらないと信じています。これこそが創設当時のデザイナーたちの哲学であり、この哲学はブランドのクラフツマンシップに深く刻まれています。

——ショールームは、さまざまな方法で進化しています。いまの時代にふさわしいショールームとは、どのようなものだと思いますか?

ショールームは、ただ膨大な製品ラインナップを見せるだけでなく、ブランドのクオリティを表現する場所であるべきです。ショールームは、訪れる人にインスピレーションを与えなければいけません。

フリッツ・ハンセン・ラウンジが建築家やデザイナーはもとより、訪れるすべての人にインスピレーションを与える場所になってほしいと願っています。Big LightsとTetuとの特別なコラボレーションは、ユニークな文化体験を提供してくれます。ショールーム造りのプロセスはとても刺激的で、その気持ちは、お客様にも伝わると信じています。

 

写真:Soo Hyun Lee(フリッツ・ハンセン・コリア カントリーマネージャー)